目に映るもの全てに疑問を持て。
さすれば自ずと真実が見えて来よう。

III

始めに。
この文章はうろ覚えで書かれている所が多く、
事実とは異なる事柄か書かれている危険性があるので、
その事に注意して読んでいただきたい。


横に開くドアについての記述。

ヴァーダイトにあるこの形式のドアは不思議な現象が起こる事で有名だ。
ある特定の位置からドアに触れると謎の力によってドアが開いていく方向に
吸い寄せられる様に移動させられて壁の中にめり込んだと思ったら屋根の上に
出ているというなんとも摩訶不思議な事が起こるのだ。

それ以外にもドアノブが無い所と勝手に閉まる所などがあるがこれは
魔力で動いていると考えてもいいだろう。
そんな遊び心と魔力からくる人物はただ一人、
そう、オルラディンが造った物ではないかと考えられるのだ。
オルラディンの神殿を思い出してると、
扉の形をしたトラップがあったのを思い出す事だろう。
それを実用化させたのがあの扉なのではないだろうか。

原理的には人やエルフがドアに触れるだけで扉が開き、
同時に何者も近づかせないためのバリアを扉の位置から半月状に
風船が膨らむようにして3メートルほどの大きさに広げるのだろう。
しかしこのままではドアを開けると吹っ飛ばされてしまうという
危険極まりないドアとなってしまう。
そこでバリアからの衝撃を和らげるために更にバリアを
近くにいる人などにかけることで問題を解決させたのだ。

つまり開けた時に後ろに下がるのはドアに押されるのではなく
そこから発せられるバリアの副作用によって押されているのである。
完全に開いたドアに触れないのは扉として形成されてあった魔力が
一時的にバリアになっているためである。
そこに色素を司る魔力だけが残り幻影のようになっているのである。

こんな欠陥を無理矢理直したようなドアを
造ったのもオルラディンの遊び心から来たのだろう。
そして肝心の屋根の上に出てしまう現象だが、
これは先ほど述べたバリアのシステムにバグが入っているからだと思われる。
ある特定の場所でドアに触れると、衝撃を抑えるバリアが
にゅっと出てくるようにそこに立っていた人を包んでしまうのだ。
もちろんそのバリアは衝撃によって移動される訳だから、
人を壁にめり込ませる状態になる。
そのまま行くとあの幽霊みたいになってしまうので
危険を回避するために取り合えず何も無い屋根の上に転送させられるのである。
このような処置がされているので実は故意にそう造ったのかもしれない。


では何故このような便利(?)な扉がドワーフ達が住んでいる所には無いのか。
それはオルラディンは背の低い醜いドワーフを差別し、
魔物と似たような存在として扱っていたからなのかもしれない。
そのためドワーフがあの扉に触れても開くことは無いのである。
ドワーフたちが住む付近にあの扉が無いのはこのためである。
この事を気にしたドワーフはオルラディンを一泡吹かせようと、
強力な魔力を秘めた武器を造る研究をしたのだろう。
時は流れいつしか魔力を秘めた武器を造るという事だけが代々伝わる様になり、
そして遂に完成したのがカプリコーンとあのエクセリオンであった。

しかしその達成はすぐに悲劇へと変わってしまう。
エクセリオンを試しに撃ってみた所あろう事か、
放った矢は自分の息子に飛んでいってしまうのだ。
息子は必死に逃げ惑うが、何処までも追いかけてくる矢に
逃げ切れるはずが無く力尽きた息子は心臓を打ち抜かれてしまう。

自らがしでかした忘れたいほどの罪を息子の墓と共に封印し、
そして二度と悲劇が起こらないように武器を造る事を辞めた。
その後、ある日一人の騎士が訪ねてくる。
ブロミウスと言う金属を渡された鍛冶屋は、
懐かしい思い出とともに自分が殺めた息子の記憶を甦らせる。
息子はブロミウスを持ってきては何かを造ってと良くせがんで来たものだ。
何回もブロミウスを持ってくる騎士につい息子の姿を重ねてしまう…。

あの武器を渡したのは心のどこかで自分も
息子と同じ死に方を望んでいたのかもしれない…。
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