一日目 二日目 三日目 四日目 五日目

俺の名はクレイショ…じゃ無くて、イクシオン・ロズベノレグだ。
嵐の夜に現れた謎の人物から滅びの像をあるべき場所に置いてこいと言われたんだ。
これがどんなものか分かっている。
この国に厄災を齎している元凶と言われている物だ。
それを極秘に置いて来ようと遠征隊を派遣したらしいが、
それがなんでここにあるんだ?
自慢じゃないが俺は剣も魔法もてんで駄目だ。
厄災の地などという危険な所に行くなんて自殺行為としか言いようが無い。
何かの間違いだろうとその人に言おうとしたが、
既にその人は何処えとも無く消えていた…。
で、仕方なくこの地に来る羽目になってしまったんだ。
門の前に着いた時には食料も底をつきかけていた。
何で俺がこんな目に遭わなきゃならないんだ?
確かに極秘情報を知ってたりするけどさ、それだけじゃん。
と、どうもふに落ちない状態で門をくぐる事となった。


一日目。

門をくぐるとむわっとした熱気で溢れている。
良く見なくても分かるが地面と所々から真っ赤に煮えたぎるマグマが顔を覗かせている。
もちろん足を踏み外せば即死だろう。
足元に注意して進む事にする。
少し進むと看板があった。
『薬草あります』
これだけでも十分嬉しい事だった。
食糧を求め僅かな明かりが点っている薄暗い通路に入っていく。

通路を向け開けた場所に出る。
そこでヘリオドールの兵士と出会う。
彼は棍棒を持っていっていいと言ったが俺には到底使いこなせる物じゃない。
まあありがたく貰っておく事にするが。
岩肌に開いた通路に入り長い階段を降りてやっと店につく。
取り合えず食料を調達だと思ったが肝心な事を忘れていた。
そう俺は文無しだという事に気が付いたのだ。
このままではのたれ死んでしまう。
何か金になるものはと辺りを見渡す。
目に飛び込んで来たのは大きな宝箱。
店の主人が見てない隙に箱を開けると中には80GOLD入っていた。
そのお金で薬草を2つ買う事にする。
これで少しはマシになったか。
外に出て辺りを探索する。
僅かな装備と薬草を手に入れる事ができた。
谷の向こうを見るじいさんにも会った。
まだ満足できる状態ではないが来た時よりは十分マシになったはずだ。

来た道を戻り奥へと続く道を進む。
魔物が居るが到底太刀打ち出来るものじゃない。
来る時に培った足腰で一気に駆け抜け、神殿に逃げ込む。
奥に宝箱を発見し早速拝借する。
木の靴とキノコが入っていた。
キノコを食べたら強くなれればいいのに…。
二階に上がると人が居た。
森の民と魔法の事を話してくれた。
俺も魔法が使えれば魔物と戦えるのにと思う。
魔法か…。

外に出て谷間にできた道を進む。
民家を発見し近くにいた少女と話をした。
母親の病気を治すのに必要な命の石と言うものを探すために、
父親がそれを探しに行ってるのだとか。
それで退屈なのでお父さんの帰りを待っているらしい。
こんな可愛い子を退屈にするなんて許さん。
よし俺に任せろ。
さっさと命の石を見つけておやっさんを帰ってくるようにしてあげるぜ。
早速採掘場へと向かう。

採掘場は岩をくり貫かれてできた炭坑のような感じだ。
中に入って行き最初の分かれ道で嫌なものを見てしまった。
見るからに毒々しい赤いスライムが通路に隙間無く集まっているのだ。
無理に通ろうとすれば毒を食らってしまう。
スライムに触れないように僅かにできた隙間を慎重に進んでいく。

奥に進んで行き、丸太の一本橋を渡る。
途中休憩所を発見するが、変な人がいるだけであの子の親父さんは居なかった。
昇降機を使ってさらに奥へと進む。
毒の池を越えて進んでいくと天井が崩れている。
その傍らには命の石が転がっていて、
あの子の父親が無残にも岩の下敷きになっていたのだ。
残念な事に既に事切れていた…。

暗い気分のまま採掘所を出る。
あの子には黙っておいた方が良いだろう。
命の石を少女に見せる。
お母さんにあげるとお礼をしてくれるみたいだ。
可愛い子の頼みを無下に扱う事はない。
願いを叶えてあげ、お礼の品を受け取る。
それは透明で綺麗な石だった。
中に赤い球体が入っていてまるでスタールビーを思わせるものだった。
手に持つと熱いような不思議な力を感じる。
暫く眺めていると石が突然中に浮き粉々に砕け散ってしまう。
そして体の中に熱い力を感じるのだ。

「こ、これは…」

頭に炎のイメージが浮かんでくる。
だが精神力が足りないせいで上手くイメージをまとめる事が出来ない。
やはり俺みたいなのが魔法を使う事など出来ないのか…。

集落に戻るとじいさんがいない事に気づく。
店の人に話しを聞くと、奥に行ってしまった事を教えてくれた。
奥には板が張り付けられて通れない所があったが、
そこが壊されていて通れるようになっていた。
中に入るとそこは地下墓地になっていた。
触らぬ神に祟り無し。
墓石には近づかず隅を歩いていく。
暫く進むと外に出る道を見つけ更に進んでいく。
いったいじいさんは何処まで行ったのやら。
山道を登ると大きな建物を発見する。
どうやら教会のようだ。
中に入ると探していたじいさんを発見した。
どうやら魔物の餌食にはならなかったようだ。
話しをすると魔物がいて妻の所に行けんと言う。
でもって魔物を何とかしろと無理難題を押し付けてくる。
俺だってまだ一度も倒した事無いのに…。

さあどうする。
このままじゃ魔法を使えないせいで先に進む事すら出来ない。
企画倒れで終わってしまうのか!?


二日目。

俺は教会の椅子に座って一晩中考えていた。
このままで良いのかって。
爺さんとも話しをしてみた。
相変わらず魔物を何とかしてくれとしか言わなかったが、
その言葉こそが俺の求める答えだったのだ。
逃げてばかりでは先には進めない。
道は自分の力で切り開かないと真っ直ぐ進めないんだと。
それに、さっきから俺の拳が疼いてるんだ。
こんな事は始めてだ。
体が熱い…。
俺は席を立つ。
そして勢い良く扉を開けて魔物たちが屯っている所に飛び出していった…。

気が付くとそこに居た魔物は全て土に帰っていた。
右手が痛くなっている事に気づく。
グローブを外すと皮が剥けて少し血が滲んでいた。
武器も持たずに倒したのか…。
いや、この拳こそが俺の武器なんだと…この時俺は確信した。
爺さんの事を思い出し早速倒した事を報告しに教会へ向かう。
扉を開けると俺は自分の目を疑ってしまった。
そこには魔物の生き残りと爺さんが倒れていたのだ。

「このやろう!」
怒りの鉄拳を魔物の顔面へ叩き込む。

ドガ!
右手に痛みが走る。
だがそんな事には構っていられない。
もう数発ぶち込んで魔物を倒す。

「爺さん!大丈夫か!?」
倒れている爺さんに駆け寄る。
だがもう起き上がる事はなかった。
迂闊だった。
すぐこの事にぎづいてあげればこんな事には…。
悔やんでも仕方が無い。
一回り強くなった俺は新たな一歩を踏み出していく。


「だあ!何をするんだ!」
俺は今、採掘所の休憩室にいる。
昨日会った変な人にちゃんと挨拶をするためにわざわざ立ち寄ったのだが、
無視をしてしまった事を怒っているのか手に持っているつるはしをブンブン振ってくるのだ。

「危ないって言ってるだろ!!」
俺はつい殴ってしまう。
クリーンヒットしてしまい変な人はよろける。
大丈夫か?と言おうとしたら、
ウオェーという音とともに異臭が立ち込める。
うわっ、何か吐いちゃったよこの人。
吐き出された液体は黄色く発光している。
いったい何を食べたらこうなるんだ?と思っていたら、
変な人がこちらを向きつるはしで攻撃しようとしてくる。

ブオン!
紙一重の所で避けたあと条件反射でカウンターを決めてしまう。
もはや弁解の余地も無いだろう。
このままでは危険極まりないので叩きのめす事にする。
倒した後危険なつるはしを没収する。
まあ先に攻撃して来たのは向こうだから正当防衛という事で大丈夫だろう。
採掘場を後にする。

次に立ち寄ったのはあの少女がいる所だ。
奥に行くと入り口が木の板で塞がれていて入れない家がある。
俺は先ほど手に入れた武器で粉砕する事にする。
「お、重い…」
やっとのこさ持ち上げて一気に振り下ろす。

ドガシャン!
板は砕け散り中に入れるようになった。
早速宝箱に入っているものを拝借する。
ふと壁に文字が書かれている事に気づく。

『森の民の秘術である魔の法
その手掛かりをついに手に入れた』
実に興味深い事が書かれていた。
それを手に入れれば俺も魔法が遂に使える事が出来るのだろうか。
それを探して中庭に出る。
奇妙な木と人骨を発見する。
とりあえずこの枯れ木相手にパンチの練習でもするか。
バシバシッとリズム良く殴る。
何やら呻き声みたいなものが聞こえるが気のせいだろう。
途中体力がみなぎって来たのが分かる。
そして暫くすると木は崩れ落ちてしまう。
そしてカランと何かが落ちたのを発見する。

「これは…」
落ちていたのを拾ってみる。
それは腕輪のようで不思議な装飾がなされているものだった。
装備してみると精神が漲って来るのを感じた。
ついでに腹ごしらえのためにキノコを食べると、
そのせいか炎のイメージが上手く纏まるようになった。
これでやっと先に進む事が出来るだろう。
少女にもう行くことを伝えると少しだけ寂しそうにしていた。
別れの挨拶をした後、神殿へ向かう。

神殿の奥には蜘蛛の糸のせいで開ける事が出来なくなっている扉がある。
それを自分の創り出した炎で焼き払う。
想像していた以上に凄い威力だ。
蜘蛛の糸は瞬く間に炭に変わる。
やっと開くようになったドアを開けるとそこには地下に通じる階段があった。
この先、神殿の地下にはいったい何があるのだろうか。
俺は一歩一歩慎重に階段を降りていった…。


三日目。

「何だこれは」
階段を降りきった俺を待ち構えていたのは、
通路いっぱいに張りめぐされた蜘蛛の糸だった。
もう全てを焼き払っていけるような魔力は残されていないので、
仕方なく蜘蛛の糸に揉まれながら進む事にした。

糸地獄を抜けた時には身体中糸塗れになり、
まともに動く事もままならない状態になってしまった。
仕方が無いので纏わり付いた糸を取る作業を行う。

数分後、すべての糸を取り除く事が出来、奥に進む事にする。
左手にある部屋に入ると傷ついた兵士に出会う。
魔物に襲われたのでここまで逃げて来たらしい。
仲間は魔物に取り憑かれているなんてこの先で何が起こっているのだ…。
部屋から出て更に奥へと進む。
途中を右に曲がると地下墓地がある。
村の地下にあった墓よりも明らかに造りが違い、
広くくり貫かれた空間の奥には何やら石碑が立っている。
それに触れると突然文字が光り出した。
『偉大なる森の戦士
ここに眠る
彼らに永久の安らぎを』
そう石碑に書かれていた。
森の戦士とはいったい何者なのか…、
そんな疑問がふと浮かぶ。
それを調べるためにはかの奥へと入っていく。
いや、決して墓荒らしをするために行く訳ではない。

暫く探索をした結果、解封の石というものを二つ手に入れる事が出来た。
どうもこの墓の重要な場所に行くために必要なものだと考えられる。
その場所を探すため、まだ行っていない所を目指す。

部屋に入ると奇妙な色をした水が溜まっているのを発見する。
喉が渇いていたので躊躇することなく飲む。
するとHPが回復するどころか毒を食らってしまい逆に減っていく羽目に。
すぐに毒消し草を食べたため大事には至らずに済んだ。
ふと周りを見ると近くに爺さんが座っているのを発見する。
こんな魔物がいて危険な所によく一人でこれたな…と思うよりも先に、
不可抗力にしろさっきの一人ギャグを見られてしまったのが痛い。
爺さんと話しをするとそこの水は飲まないようにと言ってくれた。
時既に遅し。
表情こそ無表情だったが、腹の中ではさぞかし煮えたくっていた事だろう。
隣を見るとさっき手に入れたアイテムがちょうど嵌まりそうな窪みが二つと扉があった。
やはりと思い早速窪みに嵌めると見事に合わさり、
閉じられていた扉が開くようになったのだ。
中に入って間もまく度肝を抜く事になる。
魔物が次から次ぎへとわらわら現れたのだ。
ざっと数えても20匹は下らない。
久し振りに拳が唸る時が来たようだ…。

数分間に渡る熱い攻防。
勝利を手にしたのは俺だった。
先に進もうとするとさっきの仕掛けがまたあり進む事が出来ない。
もうアイテムは持っていない。
辺りにも落ちていないので仕方なく戻る事にする。
帰り際、爺さんと話しをすると持っていた鍵を渡してくれた。
持ってるなら先に言えよ…なんてことはあえて言わなかったが、
どうも上手い具合に利用されている気がしてならない。
鍵をはめ込み奥の部屋に入る。
そこには変なアイテムが転がっていた。
何かの役に立つだろうと持っていく事にする。
地下墓地から出たあと、さっきの傷ついた兵士が気になり見に行く事にする。
部屋の中から足音が聞こえる。
元気になったのかと思いドアを開ける。
そこに果たしかに歩いているさっきの兵士の姿があるのだが、
何か様子がおかしい感じがする。
恐る恐る近づいていくと急に手に持った武器で攻撃してくるではないか!
すんでの所で攻撃を避けた俺は目を覚ませといわんばかりに顔を殴る。
だが元に戻る気配はない。
それどころかさっきよりも激しく攻撃して来るようになってしまう。
僅かな希望にすがるように殴り続ける。
やがて兵士が倒れると身体から奇妙な生き物が出て行くのが見えた。
何なのか調べようとしてもすばしっこくてすぐに見失ってしまう。
あれが兵士を操っていたのだろうか…。
ふと足元を見ると何かが転がっている事に気づく。
兵士が持っていたものみたいだ。
形見代わりとして大切に持っていこう。

地下墓地の入り口と反対の所にいく。
そこは小さな部屋になっていて、墓から帰って来た爺さんがいた。
話しをするとこの先が古の都だと教えてくれた。
そして森の民が聖地と呼んでいた場所でもあると…。
俺はその入り口にたどり着いたのである。


四日目。

通路を奥に進み、扉を開ける。
辺りは急に明るくなり、広々とした空間に出る。
左右に通路が広がっていて奥の方には扉がある。
取り合えず真っ直ぐ進もうとしたその時である。
突然前方上空から矢が雨霰といわんばかりに降って来たのだ。
中途半端に走っていたら蜂の巣にされていた事だろう。
原因を調べるため上を向くと人影と矢が出る装置があるのが見えた。
どうやらあそこを何とかしないと先には進めないようだな。
そう思った俺は左の通路を進むことにした。
途中兵士に出会うが目がいっていたので話し掛けずに避けていく。

奥にいくと兵士が休むための部屋が立ち並んでいた。
少し休もうと中に入ってみる。
各部屋には斧とか矢などが落ちていたがどうせ俺には使いこなす事は出来ないだろう。
それでもコレクターのために拾っていくけどね。
外に出て隣の通路に入ると上り階段があった。
恐らくこの通路が矢を降らせる装置の所に通じているのだろう。
進んでいくと案の定その場所に出ることができた。
足場は狭く手すりも無いので注意しないと下に落ちてしまう事だろう。
人影は兵士だった。
相変わらず目がいっている。
採掘場の人たちもそうだったが流行なのだろうか?
そしていきなり攻撃して来る所も。
仕方なくこの足場が悪い所で戦闘を強要される事になる。
己の拳に全てを賭ける。

敵はモーニングスターと言われる鉄の棒の先に、
刺がたくさん突き出た鉄球を付けた感じのおっかない武器を持っている。
当たれば一たまりが無いだろうがこの武器の欠点は重いと言う事だ。
その事を踏まえていく。
しかし、その考えは甘い事にすぐにきづかされることになる。
敵の武器を降るスピードが異様に速いのだ。
まともに食らえば命が危ない。
タイミングを計り攻撃後の一瞬の隙を突く。

バシ!!
上手く当てる事に成功し何とか倒す事が出来た。
そして装置に付いているスイッチのレバーを切り替えると、
さっきまで散々矢を放っていたのがぴたりと止まった。
これで先へと進む事が出来るだろう…。

ドシャンドシャンと、地響きに似た音が聞こえる。
それもそのはず今俺の目の前には石で出来た巨人が立っているのだから。
必要以上には来ないらしくちょうど通路を塞ぐ形で立ち止まっている。
無理に通ろうとすればそのとてつもなく太い腕によって、
強烈なパンチが繰り出されて来る事だろう。
どうも手前にある石像が関係しているとみる。
石像は二つあり一方には冠みたいなのが被されている。
俺はもう一つの冠を探すためにいったん戻る事にする。
そう言えば反対側に行っていなかったよな。
そう思い目的の場所に向かう。

通路を奥に進むとあの石の巨人が立っている。
反対側にはあそこにあった石像と同じ物が立ち並んでいた。
そして巨人の近くの石像には冠が被せられてある。
どうも冠によって動きを制御されているようだ。
通路を塞いでいる巨人の動きを封じ込めるために冠を取っていく。
当たり前の事だが動きが止まっていた巨人は動き出す。
逃げ道が塞がれる前に急いで脱出する。
迫りくる巨人。
その脇を走り抜け間一髪の所で逃げ切る。
冷や汗ばりばりだったが休んでいる暇はない。
通路を塞いでいる巨人の場所へ向かう。

石像に冠を被せると巨人は指定の位置へと戻っていった。
これでやっとのこと進む事が出来る。
奥に進むと今までに無い大きさの扉があった。
いよいよここからが本番なのであろう。
扉を押し開けていく。
魔物といい石の巨人といいこの先何が待ち構えているのか想像が付かない。
気を引き締めて異様に広い通路を進んでいく。


五日目。

少し進むと再び巨大な門があった。途中兵士が寝ていたが気にしないで置こう。
息を呑み門を開くとそこには巨大な空間が広がっていた。
見上げれば天井は遠く、見下ろせば目が眩むほどの高さ。
中央には塔が立っておりここと繋ぐ橋は上がっていて行くことは出来ない。
空中には巨大な鳥のようなものが舞い、羽根を羽ばたかせる音が聞こえてくる。
観察しようとするや否や鳥は巨大な火球を創り出しこちら目掛けて撃ち放ってくるではないか!
寸での所で避ける。
壁に当たった火球は轟音と共に爆発した。
あんなのに当たったら洒落どころでは済まないだろう。
ましてや倒そうにも相手は空を飛んでいるため俺の拳はそこまで届くはずもない。
壁沿いに走る細い道を見つけ、こんな場所はさっさと通り抜けようと走っていく。
しかし片側は深い闇へと通じる崖。
慌てすぎて足を踏み外したらそれこそ洒落にならないだろう。
かと言って歩いていくと次から次へと放ってくる火球に当たり丸焼きにされることだろう。
そんなぎりぎりの状況の中、必死に突き進んでいく。
目の前には崩れ落ちた通路と壁の奥に通じる道。
俺は迷う事無く奥に入る通路に逃げ込んだ。

扉を押し開け部屋に入る。
これで鳥の追跡からは逃れれただろう。
部屋の中には大きなキノコが生えていた。
何時ぞやで見たキノコと同種の物だろう。
邪魔なものは拳で粉砕していく。
どんどん奥へ突き進んでいき扉を開けるとまたさっきの空間に出た。
迷ったわけではなく別の場所に出たのだろう。
相変わらず鳥が中を舞っている。
疲れたりはしないのだろうか。
またとろとろしているとさっきの二の舞になり兼ねないのでさっさと次へ進むことにする。
脇の石に北門と書かれた場所に入っていく。

分かれ道を右に行くと暖炎の像と沢山の木箱、そして宝箱がある部屋についた。
明らかに人の居た形跡がある。
きっと遠征隊が休憩場所に使ったのだろう。
金目のものが残っていないか木箱を粉砕し宝箱の中身を拝借する。
収穫は地味だったがこんなものだろう。
部屋を後にし奥に進む。
しかし暖炎の像とは一体何なのだろう、元々ある物か持ってきた物か…だとすると…。
どちらにしろただの装飾品ではないだろう。
そんなことを考えながら奥の扉を開ける。
奥の部屋は一段と暗く異様な空気が立ちこめていた。
そして闇に蠢く影をみつける。
その影はこちらの気配に気づき、手に持つ剣でいきなり襲ってきたのだ。
近めで見てその姿がはっきりする。
巨大な蜥蜴のような姿の異型の兵士。
それはオフディアンと呼ばれ遠征隊を襲った魔物だ。
かなり腕の立つ種族で多くの者から恐れられていると聞く。
俺は気を引き締めてかかることにした。
敵の攻撃を済んでの所で避け拳を当てる。
動きが速くこっちも捕らえるのがギリギリだ。
何とか倒すことが出来、倒れている兵士の荷物を探る。
三角形のプレートを見つけ頂戴することにする。
きっと何かの役に立つだろう。

道を戻り巨大な空間に出る。
上がっている端の脇に橋架の台座があるということに気づく。
逆三角形の凹みがありさっき手に入ったプレートとはめてみることにする。
すっぽりと納まり上がっていた橋が降り始める。
これでついに中央の塔に行くことが出来るようになったのだ。
中に入ると各属性を司るものと書かれた巨大な石盤と開かない扉があるだけだった。
特に何か出来るわけでもないのでその場を後にする。
塔の周りから別の場所に行ける橋がかかっているのを見つけそこを進むことにする。
門の脇に置かれた石版には真銀の門と彫り込まれていた。
古の文献によるとこれが都の正門であり今までのは入り口に過ぎなかったということだ…。
先走る不安と恐怖を振り切り俺は一歩一歩進んでいった…。


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